「血圧をとらえなおす」は2004年11月17日記載に加筆したものになります

血圧をとらえなおす
   有本政治

 

血圧とは何

 血圧とは「血液を流す力」をさします。体の隅々まで血液を流すためには、
血液を流す力が必要です。これを「血圧」といいます。体の中の血液はいつも
同じリズムで流れているわけではありません。一日の中でも時間帯により大
幅に変動する場合もあります。また状況に応じて血液を速く流す必要がある
場合は血圧を高め、ゆっくり流さなければならないときは血圧を低くし、血
液を流す力をコントロールしています。私たちの体はこのように、条件によ
って血圧を可変できるシステムを兼ね備えています。

高血圧はこわいものですか

 高血圧を考える場合に、次の例をあげてみます。
私たちは100メートルを全力疾走したとき、呼吸が激しくなり、心拍数も
著しく上昇していきます。
これは全身の筋肉をふる回転させるために、筋肉に血流不足が生じるからで
す。この血液不足を補うためには、通常の呼吸数(十八回分)心拍数(毎時
60〜70)では酸素を全身の筋肉に送れません。そのために一時的に呼吸
数を増大させ、心拍数を高くします。そうすることで血液を全身に速く送り
出してくれるのです。全力疾走した後は、当然血圧も高くなっています。血
液を流す力(血圧)を高めないと、血液を速やかに全身に送り込むことができ
ないからです。これは、命を守る上で必要な対応手段となります。
 このように高血圧とは、血液を流す力を高めて、全身の血流を守り抜こう
としている姿になります。ですから血圧が高いからといって、こわがる必要
はありません。

高血圧によって頭痛、めまいや脳出血が起こるのでは

 ほとんどのかたが血圧が高くなると、頭痛やめまい、脳出血が起こるので
はないかと思っています。しかしこれはまったく逆の考え方になります。頭
痛、めまい、脳出血はすべて、脳に血液不足の状態が先にあるために発生し
ます。脳に血液不足が起こると体は血圧(血液を流す力)を高くして、脳への
血流を一生懸命確保するように対応していきます。脳内の隅々まで速やかに
血液を送り込むために、一過性的に血圧を上昇させて対応していくのです。
 つまり高血圧が頭痛やめまい、脳出血を引き起こしているわけではなく、
頭痛、めまい、脳出血が起こるから、体は命を守るために血圧(血液を流す力)
を高くするのです。私たち人間を含め生物とは、一日も速くその命を終わら
せようとはしません。最後の最後まで命を守り抜くための対応をしていきます。 
脳内出血がくも膜下出血の原因は、高血圧によるものではなく、脳内の圧力
の上昇つまり、脳圧の上昇がその要因となっています。

血圧は若い頃と年をとってからも同じでなければならないのですか

 人の体は日々変化しています。「行く川の流れは絶えずして、しかももとの
水にあらず、」というように年齢を重ねるごとに体の基礎代謝能力も変わり、
低下していくのが自然の理になります。当然血液の流れの勢いも年齢と共に
低下していきます。特に血液を循環させるポンプの役割を担っている心臓は、
加齢と共に弱ってくるのは自然の理です。これを補う対応が血圧の上昇に
なります。そうすると体は血液を流す力(血圧)を少しでも高めて、命を最
後まで守り抜こうと懸命に働きはじめます。つまり年をとるにつれ、血圧が
上昇していくのは自然なことなのです。

血圧はよく電圧に例えられますがこれはどういう意味ですか

 電圧とは電気を流す圧力をさしています。電気を速く流すためには、電圧
を上げなくてはなりません。電圧が下がると電流も低下してしまいます。
血圧というものは血液を流す力のことで、この電圧と同作用になります。血
液を速やかに全身の隅々まで送り込むために、体は血圧を一時的に高くして
血液の流れを作っているのです。

平均血圧というものは存在するのですか
 
 加齢と共に、体のすべての機能や働きは変わっていきます。若い頃と年を
とってからでは、血液の流れも当然変わっていきます。血圧の数値は、以前
では年齢+90が正常値といわれていました。しかし現在では90〜140が
正常値などといわれるように、年齢に関係なく平均的数値で体を測るように
なってしまいました。
 年齢と共に身体能力、生理機能は変わっていくものなので、この平均値で
の測定は明らかに自然の理に反した考え方となります。17〜8才の血気盛んな
若者と80〜90才の老齢の方が同じ土俵で論じられることは、論外になります。
60才代の方なら60+90で150以上の血圧でも何の心配もありません。
またそのときの体の状態で、必要ならば60才でも血圧を180〜200ま
で一気に上げて、血液の流れを守り抜こうとする対応をとる場合があります。
平均血圧なるものに惑わされず、自らの体を信じていくことが大切です。

体のすべての組織、器官は何によって養われているのですか

 体のすべての組織・器官は血液の「循環・配分・質」によって養われてい
ます。これらは常に一定に保たれ、生きていくためには血液が流れ、循環し
ていかなくてはなりません。これが血は命といわれる所以です。血液の流れ
はスムーズに、必要なときに必要な場所に配分されなくてはなりません。
また、血液の質、成分も常に一定に保たれなくてはなりません(赤血球の数
量、白血球数、血糖値、乳酸値等)
 血液の循環、配分をコントロールしているのが血圧になります。血圧は血
液を流す原動力となっているからです。また、血液の質、成分に変化が生じ
た場合、これを元に戻すために体は一時的に血糖値を高めたり、尿酸値を高
めたりします。そうすることで、体は血液の質を元に戻す対応をとっている
のです。これも生への対応の姿になります。
このように体の生理機能は、血液の循環・配分・質によって守られ、生かさ
れています。

高血圧の原因となる血液の循環・配分を乱している所は

 全身の血液の循環・配分にいちばん関与しているのは、肝臓と腎臓になり
ます。肝臓は人体最大の中身のつまった血の固まりのような臓器です。
ここに大量の血液を奪われてしまうと、全身の血液の循環と配分が乱されて
しまいます。
また腎臓という臓器には血液の、ろ過再生装置として働く作用と、全身の血
液、体液の配分をコントロールする作用があります。
 脳に虚血が起こる要因は、この肝臓と腎臓の機能低下にあります。血液の
循環、配分を整え、高血圧を根本的に解決していくためには、この肝臓と腎
臓の機能を高めていく必要があります。そのためには、肝臓と腎臓の氷冷却
法が効果を発揮します。冷却することで内部の充血がとれ、乱れた血液の循
環、配分が整い、体の隅々まで血液を行き渡らせることができるからです。
血液の循環、配分が整えば、高血圧も自然に解消されていきます。

血圧を薬で下げてしまうと、どうなりますか

 頭痛やめまいを例にあげて解説してみます。頭痛やめまいは脳の虚血状態
(血液不足)によって、引き起こされています。脳に虚血状態が起こると体は、
脳へ血液を送り込むために一時的に血液を流す力を強くして(高血圧にして)、
脳への血流を守っていきます。体は必要があって血圧を高くしているのに、
これを薬で人為的に下げてしまうと、一時的に頭痛やめまいが消え去ります。
しかし、警告サインである頭痛やめまいが消えることによって、体は黄色信
号を見失ってしまうことになります。薬の作用によって治ったと思い込んで
いる間にも、脳内ではなお、慢性的な血不足が続いています。
さらに体はこの脳への血液不足を補うために、次の対応処置をとっていきま
す。脳の微細な血管をつまらせ、主要な血管の流れを確保して脳の血流を守
り抜こうとしていきます。これが脳梗塞にあたります。
 つまり、血圧を薬で下げてしまうと、体は脳圧を高めることで血液を流そう
とします。脳圧を高くすることで、脳内に熱の発生を生起していきます。
よかれと思って服用している薬の作用が、実は次の段階の対応に体を向かわ
せていたのです。
 体に生じる症状はすべて警告サイン(黄色信号)になります。この警告サイ
ンを人為的に消し去ることは、いきなり赤信号になってしまうことにつなが
るのです。

高血圧になった場合、どう対処すればいいのですか

 まず高血圧とはどういうことかを正しく認識しなければなりません。高血
圧とは、血圧を高くすることで血液を速く流し、必要な場所に血液を循環さ
せ、必要な量を配分して命を守ろうとしているのです。
特に脳は、常に新鮮な血液を多量に必要とします。脳内に少しでも虚血状態
が生じると、体は脳への血流と配分を確保するために、一過性に血圧を上昇
させていきます。高血圧で頭痛、めまい、脳出血が起こるのではなく、高血
圧にすることによって血液を流す力を高め、頭痛やめまい、脳出血を改善し、
脳へ血液を送ってくれているのです。この点を正しく理解していかなければ
なりません。
 血圧が急激に高くなったときには、あわてずに体を横たえます。そうする
ことで、血液が脳内の隅々まで循環しやすくなります。そしてあおむけにな
って、右足を45度くらいの角度で開き、心臓より高く足を持ち上げます
(
台やクッションなどの上に右足を置きます)この形をとることで、心臓や
脳への血流を促進させてくれます。そして頭と肝臓を氷で冷却します。頭を
冷却することで、脳内の血流は著しく改善されていきます。また同時に肝臓
を冷却することで、肝臓の充血をとり去り、血液を全身の隅々にまで循環さ
せることができます。体内の血液の配分を大きく乱している要因は、肝臓の
充血にあるからです。肝臓の充血が解消されれば、脳への血液配分も元に戻
り、一時的に高くなった血圧も下がっていきます。
 高血圧だからといってすぐ薬を使用してしまうと、一時的に症状が治まっ
たかのように思われますが、より内部へ、脳内までその症状を封じ込めてし
まいます。体がせっかく血液を流す力(血圧)を高め、自力で回復しようとし
ているのに、それを無理に抑制してしまうと、脳内の血管をつまらせたり、
脳出血等を引き起こしてしまうことにつながります。
 私たちの体は与えられた寿命を最後まで全うするように働いています。目
に映る症状をただ一方的に封じ込めるのではなく、根本から見つめ直し、改
善していく姿勢が大切です。

なぜ日本伝承医学の技術で血圧を良い状態にできるのか

 私たち人間には、最後の最後まで自らの命を守り抜くように人智を超えた
生へのプログラムが施されています。幾重にも命を守るための対応システム
が備わっているのです。体の健康状態に合わせて、血圧を高くしたり低くし
たりして、そのときの状態に一番良い体の生理機能を維持してくれています。
体の生理機能を円滑に営むためには、血液の循環と配分が大切です。
そして血液を滞りなく流し循環させていくためには、体に電気の流れを作る
ことが必要です。
 日本伝承医学の技術は、骨に圧をかけることで電気を発生させ体内の電気
レベルを高めることを主目的としています。三指半操法は、体の一方の極で
ある足の骨に電気を発生させ、足のポンプ機構を働かせ、血液を上方に循環
させていきます。もう一方の極である頭と足との間に電位差を作り、電気の
流れを作っていきます。
リモコン操法では足の中足骨に圧を加え、瞬時に頸部、頭部の血液の循環を
変えていきます。
この二つの操法で、全身の電気レベルを高め、人体に電気の流れを作ります。
そして心臓調整法で、頭部及び全身の血液の循環を整えていきます。人体の
電気レベルが高まり、電気の流れが改善されれば、血液は滞りなく流れるよ
うになります。血液の流れが正常になれば、体は血液を流す力を高めなくて
も、すなわち高血圧にならなくても、血液を円滑に循環させていくことがで
きます。
 日本伝承医学の技術は、薬を用いることなく体を自然良能に導き、その人
にとって最も良い健康状態に向かわせることができる技術となります。