日本伝承医学技法の独自性「形の医学」2022.12.1.有本政治

 

日本伝承医学の技術の特徴のひとつとして「形の医学」があります。
形の医学は施術の際の受者の姿形と、受者の手と足の関節の形を、
ある形にとっての操作になります。なぜこのような形(姿形と関節の
)をとるのか以下解説します。

仰臥位をとった受者の上肢と下肢を開いたり閉じたりした形をとら
せて操作を行ないます受者の両上肢を肩と水平位になる位置まで開き
ます。下肢は、片方だけ45度位まで開きます。右下肢を開けば人体
の左半身に、左下肢を開けば右半身に作用が及びます。このように
仰臥位の姿勢から上肢、下肢の形を開いたり閉じたりする姿形をとる
ことで人体内の電気の流れと配分(電界)を調整し、人体内の血液の
流れ(循環)と配分を調整しています。

また日本伝承医学の形の医学では、手足の角度をとる姿勢をとる
ことで、人体の体幹部を分割している横隔膜を境に、上部に二つ、
下部に二つ、全体で四つに分けて作用力線をとります。脇や股は
人体の電界の分かれるところで、脇や股を開くことで作用力線が変わ
り、どこの部位の電気レベルを高めるかが異なります。

人体は微弱な電気で、骨幹である骨伝導系も枝葉となる神経系も
動いています。電気レべルが低下した所は血液の流れが滞り、血液
の循環・配分・質に乱れが生じてきます。以下は日本伝承医学の技術
を例にとって説明していきます。

右のどに痛みや炎症がある場合は両腕を水平に開き左足を開き角度
をとります。内旋し踵を落とすことで上部右側の電気レベルが高ま
ります。脾臓すい臓に弱りがある場合は両手を下げて右足を開き、
左足を内旋して踵を落とすことで下部左側の電気レベルが高まります。
胃の操法では足関節の大趾を一本折り込み張力を出す姿形を約1分間
とることで、胃に血液を集めて胃の炎症や潰瘍を修復します。
その他心臓に血液を集める手指の形、小腸・大腸に血液を集める形等、
五臓六腑に効かせる様々な形のとり方が日本には伝承されています。
これが日本伝承医学が「形の医学」といわれる所以になります。
世界的に見ても、このような原理を応用した医学は存在せず、日本
伝承医学の独自性がよく示されています。