下肢のペアストレッチ前編 2021.3.5. 有本政治

 202135日に行なわれたスポーツトレーナー未来塾の講義内容に
 なります。

≪ペアストレッチ下肢部≫

 テキスト:『ペアストレッチ』~  著:有本政治

1番のストレッチ】けり伸ばし
術者は一方の手で受者のかかとを支え、もう一方の手で受者の膝の伸展を
補助する。
このときかかとをけるように声掛けする(5回位)。術者も受者
のかかとを少し引く感じで、けり伸ばしの動作を補助してあげます。受者
のかかとを手のひらで包み込んでもってあげるような感じで行なう(図参照)

効果:一日の足にかかる重量と立ち座り、走り、歩き等のショックを抜く
運動で膝関節痛、膝関節炎を治癒できます。

2番のストレッチ】殿筋のストレッチと骨盤の調整/股関節の可動域を
          広げる

受者の股関節を最大屈曲させ術者は両手で受者の膝部を把持して補助する。
テコの原理で、大腿骨をテコにして骨盤を回転させるイメージで行ないます。
一気に強く押さないで両手に体重をかけ10秒間位保ちます(図参照)
効果:大腿部裏側、殿筋、股関節の可動域を広げるので腰痛に効きます。
3番のストレッチ】
受者に両膝を屈曲させ、股関節を最大屈曲させ、受者はその両下肢部に軽
く腰をおろし屈曲を補助していきます。受者の両膝をそろえて両手でしめ
るようにゆっくり体重をかけ10秒間くらい押させて少しふりながら面圧を
かけていきます。最後のこまかく刹那的につきます。

効果:内転筋、縫工筋、股関節の横の可動域を拡大します。内臓下垂、便
   秘、腰痛に効きます。

4番のストレッチ】
受者は術者の両足の裏を合わせ、両膝を屈曲開脚します。術者はその間に
割って入り両
手で受者の両膝内側に両手をかけ、屈曲開脚を補助します。
開脚時には、術者は自分の
膝で受者を軽く押してあげます(図参照)
効果:大腿部前側と外側の筋を伸ばし、膝関節炎、腰痛、走運動の疲労
   回復に効きます。
 

≪骨法武術≫
骨法は日本の武術のひとつになります。
堀部正史が創始した武道。武道医学から発展した整体術
【実技】
①力の出す原理を使用します。
②ボクシングの禁じ手を使います。
   肘打ち・裏拳・ローブロー(金的打ち、金的げり)
③防御に「ミット打ち」
   手の形(鷹の爪)を使って相手のパンチの力を半減させます。
   鷹の爪の型をとることで常に顔面をカバーすることができます。 

≪人体液体説≫『日本伝承医学入門編』~ 著:有本政治
「身体の中身は液体的要素で占められています。そしてその容器としての
体幹部の構造も柔構造で構成されています。これは人体が構造的に、水が
入ったビニール袋をゆすったり、動かしたりしたときの動きと同じような
動きを示しています。つまり人体は、ビニール袋の様に、皮膚という膜に
包まれた袋の中に、肝臓やすい臓、胃、腎臓等の液体要素である内臓が満
たされているといっていいでしょう。」

日本伝承医学の「ゆり操法」は上記の原理に立脚して構築されています。
【実技】
「ゆり操法」 日本伝承医学実技解説書参照
膝の上に受者の両足部をのせて、横に波打つようにゆすり。全身に波及さ
せます。

液体的な流動を同時に人体内に電気が発生します⇒流動電位

≪脊柱の話≫
S字弯曲  この生理的カーブはなぜ必要か?
         ⇒・重力線上にバランスをとるため
          ・縦方向の強度を確保するため
          ・二足直立歩行を確立するため
②腰仙角について(人体の土台の角度) 
          ・直線型  ・S字弯曲が増大
③人体積木理論 / 人体バナナ理論 / 人体ヨロイ理論
【宿題】 次回までに教科書の上記各理論を読んでおいてください。

≪下肢の主要筋肉≫
(1)大腿部前面の筋
  ①大腿四頭筋・・・4つの筋肉からなる総称
         大腿直筋/外側広筋/中間広筋(見えず)/内側広筋
                 ↓
             膝・下腿を伸展 
  ()大腿四頭筋はサッカーのキック時に痛めやすい。
   「関節は円錐運動をしている」という原理のもとにストレッチを
   指導していかなければいけない。大腿四頭筋だけを画一的にきた
   えても、競技に復帰したらまたすぐに同じ個所を痛めてしまう。
    ⇒砂場でのトレーニングが最適

     砂場がないときは、手の角度、脚の角度をくるくると変えてスト
   レッチしていきます。

  ②縫工筋(ほうこうきん)・・・大腿部を斜めに走行しています。
(2)大腿部後面の筋
  ①大腿二頭筋→膝・下腿を屈曲
   起始がふたまたにわかれています。長短2頭から成り、長頭は坐骨
   から起こり、短頭は大腿骨の後面から起こり、両者は合わさって
   腓骨の上端で終わっています。

 ()大腿二頭筋はストレスにより肉離れを起こしやすい 
  ※大腿二頭筋を含め半腱様筋、半膜様筋の下肢後面(太ももの裏側)
  筋肉部を総称して「ハムストリング」と言います。ハムストリング
  とは、もも肉のひもという原意で、ハムを作るときに豚などのもも肉
  をぶら下げるために、これらの筋の腱が使われたことに由来しています。

(3)下肢の内転筋
  ①縫工筋②薄筋(大腿薄筋)③恥骨筋④短内転筋⑤長内転筋⑥大内転筋
(4)下肢の内旋筋
  ①半膜様筋 ②半腱様筋
 ※肝臓、腎臓、膵臓、脾臓の弱りと関わる筋肉になります。
(5)下肢の外転筋
 ①大腿筋膜張筋
【復習】代表的な筋肉の場所と名前は覚えましょう。
胸鎖乳突筋/僧帽筋/三角筋/大胸筋/上腕筋/上腕二頭筋/上腕三頭筋
広背筋/大殿筋/
大腿筋膜張筋/恥骨筋/縫工筋/大腿四頭筋/大腿二頭筋
半膜様筋/半腱様筋/腓腹筋/
ヒラメ筋/アキレス腱 
≪経絡≫  『日本伝承医学と漢方医学の関連性』~  著:有本政治
下肢において胃経、脾経、膀胱経、腎経、胆経、肝経がどう走行しているか
  教科書の図を見て復習(教科書46頁~)
   43ページの概論を読み、経絡とは何かを予習する。