人体への磁気作用 パートⅤ 2018.7.26. 有本政治  

*これは今から約30年前の文章に加筆したものになります 

 世界的にみて磁気の人体作用への研究の先進国は、何といってもアメリカ
とロシアです。先に紹介してあります「磁気生物学」の大家、前田担京大名誉
教授がアメリカの「がん退縮実験」を報告しているので、要約して紹介します。

【アメリカ・ペンシルバニア大学の実験】

 ミューレイ博士らは、マウスの腹水肉腫37細胞の培養中に磁気力を加えま
した。温度37度、磁気の強さ8,000ガウス、すると驚くべきことに、18時間後に
は“がん細胞”が退縮していくという“奇跡”を見たのです。これを機会に、次々
と多くの医学者が“がん退治”に磁気力を活用するという実験がなされました。

【レノー博士の実験】

 今度はマウスの「エールリッヒ腹水がん細胞」を培養中に磁気力を与えて行
ないました。温度37度、磁気の強さ7,300ガウスです。磁気力を加えた時間は
3時間でした。結果はどうだったでしょうか。これも驚くべき結果で、何とがん
細胞の呼吸率が52%減少という結果を得たのです。ということは、約半分は
退縮したという驚異の効果を上げました。とはいえ、これはマウスの実験です。
次は人体の場合について考察してみましょう。

【バットラー博士の実験】

 人間の「上咽頭がん細胞(KB細胞)」の培養中に行ないました。今度は磁気
力を加えた時と加えない時の二つのケースで実験しました。人間の場合の興
味ある実験でした。磁気力を加えた時、磁気の強さは4,000ガウスです。結果
はどうであったのでしょう。結果は三日後に「がん細胞」が9%減少していました。
では、磁気を加えない場合はどうなったでしょう。磁気を加えないで自然にして
おいた場合、何もしないで放っておくわけですから当然がん細胞は増大する
はずです。結果を見てみましょう。結果は三日後にがん細胞は31%増大して
いたのです。

 このことから、「磁気力」はがん退治に効果があることが判明しました。

では、「生きている人間」に直接磁場の高い何千ガウスかを当てれば「がん」
は即治るのだろうかというと、これは早計な発想です。「生きている人間」は同
じがんでも様々な要因が絡み合います。例えば年齢・性別・体質・気質、その
人の精神状態、本人の意識等です。これらによって、必ずしも同じ結果が得ら
れるものではありません。さらに早合点して頂きたくないのは「人工磁気」では、
何でも磁気、どの部分でも磁気と、磁気づくめにするのも問題です。長時間当
て過ぎたための疲労、頭痛、悪寒などの症状が発生することも実験で報告さ
れています。

MRIの副作用】

 現在広く使用されているMRI(磁気共鳴装置)5,0006,000ガウスの強い
磁気を人体に照射することで、内部を写し出す画像を作り出しています。これ
は、照射された部位のみならず細胞を異常に振動させ、副作用も指摘されて
います。また、「人工磁気」の強さの問題があります。何でも強ければ良いとい
うものではありません。先の「がん退縮」の実験報告を受けて追試実験を行な
った岡山大学の報告では「抑制するのは4,0008,000ガウスが最も大きく、
それより弱くても強くても効果はなかった」といっています。今後のさらなる実
験が必要な段階といえましょう。

いずれにせよ「磁気」が人体に有効に作用することは判明しました。手術・抗
がん剤・放射線治療に終始している現代のがん治療に対して、副作用の少な
い磁気治療が有効であるという突破口が開かれたのです。今後の大きな朗
報であることは間違いありません。

しかし、日本伝承医学の見解は、磁気を外界から照射するのではなく、人体
内において発生させることで、細胞や遺伝子に働きかけ、生命力や免疫力を
上げ、回復に向かわせる方法です。これまで解説してありますように、人体の
組織・器官は、超微弱な電気や磁気に反応するように作られており、自然界
に存在しない強い電気・磁気に順応するようには作られていないのです。
自然界からの磁気に適応し、骨に圧やヒビキを与えて発生する、電気や磁気
に適応し反応するように人体生命は作られているのです。日本の古代人は、
このことを熟知した上で、骨に電気を発生させ、電磁誘導で磁気を発生させ、
骨伝導を介して全身に伝播させる技法を開発したのです。

 とにかく21世紀は医療も工学も「磁気力」「磁気水」といった磁気を活用する
時代になることだけは確実です。既に科学技術振興事業団と東京大学の研
究グループが水道管の“赤さび”防止に「磁気処理装置」をとり付け、成功を
収めました。磁気水でも同様の効果が報告されています。一般の給水設備に
応用できれば防錆工法に大変革がもたらされます。既に水道水の蛇口の磁
気処理装置をとり付けるだけで「水」の性質が変わるものが発売されています。
これは、ある強さの磁界を水が通過することで、水の分子が分解する作用を
応用したものです。

日本の古代人は、この原理を既に技術として完成させて伝承しています。
日本伝承医学の技法の中の、リウマチ、痛風、手首の痛みの処方がこれにあ
たります。これは、大腿骨下端部をある角度をとって叩打する操法です。

大腿骨下端部は、骨の内部が“U字溝”のような形をしていて、この空洞部を
下肢に血液を送る大きな大腿動静脈が通過して流れています。このU字溝を
した骨の上部を左右交互に直角に叩打することで、骨の内部に電気を発生さ
せ、電磁誘導による磁界を形成させ、その中を動静脈が通過することで、血
液の分子を分解し、赤血球の連鎖をとり、血液の質を元に戻すという、驚嘆
に値する技法であるのです。日本の古代人の高度な卓見に敬服するばかり
です。この血液の質を元に戻す技法は、リウマチ、痛風、偽痛風、手首の痛み
の患者に大きな効果をもたらし実証しています。

日本伝承医学の治療法は、現代の遺伝子治療であり、遺伝子の複製、遺
伝子の発現により、細胞を新生させ、造血(赤血球・白血球・血小板等)力を
著しく高めます。故に、がん治療に対して有効であることは明白であります。
このシリーズの冒頭で述べてありますように、磁気が、がんの抑制に効果が
あることが、各国の実験を通して明らかになっています。がん細胞を抑制する
だけではなく、それに並行して、新たな細胞を新生させることも同時に行なう
ことが不可欠であります。これを証明するのが、日本伝承医学による抗がん
剤や放射線の副作用を著しく軽減する事実です。これは、抗がん剤や放射線
治療によって、がん細胞と共に死滅させられる正常細胞を、骨髄機能を発現
させることで、新たな血液、正常細胞を増産させることができるからです。これ
を同時に行なえるのが日本伝承医学の治療法なのです。

日本の古代人が「気」という概念で伝えた電気・磁気は、既にこのような技
法として開発していたのです。これが現代科学によってやっと実証されました。

日本の古代人の開発研究した日本伝承医学は、前述したような強い磁気力
によって病気を治療しているのではなく、微弱な電気と磁気によって「気」をコ
ントロールしています。そして、その理論と技法は伝承されています。この
「知恵」を現代によみがえらせ、新しい‟息吹き“を与えるのが日本伝承医学の
技法なのです。生命原理の一部の解明により、誰がやっても簡単で短時間で
効果の上がる方法が見つかりました。日本の古代人の‟骨に貞く(きく)”知恵
がやっとこの混迷する現代に役立つ時がやってきたのです。