人体への磁気作用 パートⅡ 2018.6.25. 有本政治

 *これは今から約30年前の文章に加筆したものになります 

 私たちは地球磁場の中で生活しています。磁場の強さは、地球上の場所に
よって違いますが、東京付近では0.3ガウス程度です。大した強さではありませ
んが、原人発生以来100万年~300万年といわれる長い間、その中で生きてき
た人間は、それに適応した生命体を作り上げたことは間違いありません。した
がって、これよりも強い方、あるいは弱い方のどちらかに磁場が変わっても、
それなりの影響があるだろうと考えても誤りではないでしょう。

 磁力ではなく、「重力」についていうならば、このようなことは、宇宙飛行士の
例がはっきりと証明しています。無重力の空間で長期間生活すると、骨の中の
カルシウムが喪失すること、筋肉の萎縮が起こることなどが実証済みなのです。
磁気に関しての人体の影響はどうでしょうか。日常生活の中で、一般人が出会
いそうな強磁界は、病院で使われているMRI診断装置が数千ガウス程度、近い
将来実現するであろう磁気浮上式リニアモーターカーでは、現在の試作車輪の
座席の位置で約50ガウスといわれています。磁気治療器具として一般に使わ
れている磁気マット、ネックレス、磁気シール等が、10100ガウス範囲です。
逆に磁界が弱められる方向では、現在すでに私たちをとり巻いている生活環
境にいろいろな問題があります。鉄筋や鉄骨の住宅を含む建築物から、自動
車、電車、船にいたるまで、身の周りにある鉄でできた構造物は、地球磁場を
遮断して弱めています。実はあまり知られていない分野ですが、人体をとり巻く
磁気の強弱いずれの場合においても、実は人体は強い影響力を受けているの
です。

 磁気の人体への作用として、次の3点があげられます。(1)高血圧、低血圧へ
の影響、(2)白血球数の変化、(3)心拍数の変化です。これらは、その場所の
「地磁気」の日変化と共に変わるそうです。特に心臓血管系の機能は、地磁気
のレベルの影響を強く受けるのです。さらに空からの「磁気あらし」の際には、
老人の脈拍が増加し、血圧が高くなるのです、調査したオーストラリアのビル
ツェル博士によれば、「調査した人全員の交感神経の緊張が増大した」と報告
されています。内臓の働きをコントロールしている自律神経の中の交感神経が
緊張する場合は、人体の要となる肝臓と心臓が機能を低下した場合の元に戻
すための対応になります。人体における肝心の働きは、体内の血液の循環・配
分・質に一番密接に関わっているのです。このことから、私たちの血液の循環・
配分・質は磁気の作用に支配されていることがわかってきたのです。体内の磁
気レベルが地磁気の強弱、空からの磁気あらしの影響で狂ってくると、交感神
経が興奮し、血圧が高くなり、心拍数が増加するという事実は、大変な問題を
私たちに突き付けているのです。しかし逆に考えれば、この磁気を利用して病
気治しができるということを示しています。

 日本人の三大成人病(生活習慣病)は、がん、心疾患、脳血管疾患です。この
中で心臓疾患と脳血管疾患は、死亡原因全体の60%を占めており、すべて血
液性、血管性に由来した病です。これらの血液疾患には、“体内電気・磁気”が
関与しているといえます。最新の血管学によれば、血管は単に血液を送ったり、
集めたりするパイプ役ではなく、自立性をもち、考えながら行動している存在で
あると証明されました。実は血管は、人体の様々な臓器やシステムと対話しな
がら行動しているのです。

わかりやすく解説すれば、脳内の血管の一部が血栓を起こして詰まったとし
ても、自律的に新しい血管が形成され、伸びてバイパスを作り上げていくのです。
この場合においても、磁気がその「情報」の役割を担っているのです。

このように磁気の力に異変が生じると血管をも狂わせて、人間を病や死に陥れ
るだけの作用力をもっています。つまり、磁気の作用によって、血流の循環、配
分、あるいは血液の質までもが支配されているのです。血管の形成、バイパス
性、血管の拡大、収縮、血液の調整(血圧調整)のすべてに関わっていたのです。
また、その中でも赤血球の連鎖と変形が、血液の質を低下させる大きな原因と
なっています。つまり、体内の磁場形成や磁気の流れ、磁気の過不足は人体
の血液の循環・配分・質に大きく関わり、病気の重大な要因として作用している
のです。これは驚きの事実であります。ただ逆に言えば、病気治しにおいては、
この体内の磁気の流れと過不足を元に戻すことで病気を回復に向かわせるこ
とができることを示唆しています。

 「磁気生物学」という新しい学問分野の研究成果は、漢方医学の基本概念で
ある「気」・「血」の関係を見事に証明することになりました。漢方医学の「気」の
概念は、上述した磁気作用を含んだ概念であったのです。漢方医学では、「血」
は、気の誘導があってはじめてめぐることができると説明しています。

 気は血を生み、血をめぐらせ、血を摂()(引き付ける)、というように気の作
用があってこそはじめて血の存在があり得ることから「気は血の師と為す」とい
われています。したがって、「気」がめぐらなかったり、過不足、不和がが生じる
と「血」の循環・配分・質に不調和がおこり病をおこすと説明してあります。この
気の作用の一部は、実は磁気だったのです。磁気生物学の研究成果は、図ら
ずも漢方医学の説く気血の関係を見事に立証してくれたのです。

以上のことから推論されることは、血液の循環は、心臓ポンプの推進作用、
筋肉ポンプ、関節ポンプ作用と重力の作用といった物理的な流す力だけでは
なく、赤血球個々が“磁性”をもち、その磁気の特性となるその異種極吸着、同
極反発という作用を使用して、赤血球(血液)を動かす力として利用しているの
ではないかという仮説が成り立つのです。リニアモーターカーが動く原理と同じ
ことが、血管内で生起されているのです。血管内の赤血球個々が磁性を有して
いれば、このリニアモーターの原理は説明をつけることができます。

毛細血管内の赤血球の動きを電子顕微鏡で見てみると、まるで磁石で吸着
されたがごとく動く様が観察されます。事実、体内の血液循環は、心臓のポンプ
作用や筋肉・関節ポンプ作用だけでは、縦長な人体を上下に循環させる物理
的パワーにはならないのです。何か、他の血液を流す力が必要なのです。これ
を担っているのが、磁気作用と考えられるのです。これは“荒唐無稽”な発想で
はなく、“磁気体内血液循環説”として十分にうなずけるものと考えます。

磁気が電磁石のようにN極とS極を瞬時に変換させながら、血管壁と赤血球
個々に作用し、赤血球の流れを誘導していると考えられるのです。正に「気(
気・磁気)は血の師」とする漢方医学の理論が実証されるのです。気(電気・磁
)が先に動くことで、血液は誘導されるのです。血管と内部の赤血球が磁性
を帯び、同極反発と吸着を繰り返すのです。これが血液の流れを生起するとい
う考え方です。私はこれを「人体リニアモーター(磁気浮遊)理論」と称しています。

人体内の血液の循環・配分・質(赤血球の連鎖)には、この磁気が大きく関わ
りコントロールしているのです。これが事実であれば、人体全体の磁気の極性
(磁界)を整えたり、血管と血液の磁性を整えることで命の源となる血液の循環・
配分・質を整えることが可能となるのです。日本の古代人はこの原理を把握し
ていて、人体の磁界の極性を整える技法を開発していたのです。このほかにも
磁気の作用は、遺伝子情報とも深く関わっています。次項では、もっと詳細に
人体の磁気作用を探ってみたいと思います。