人体への磁気作用 パートⅠ 2018.6.1. 有本政治

*これは今から約30年前の文章に加筆したものになります 

 私たち生命体は、地球という環境の中で誕生し、地球生命として多種多様な
進化を果たし現在に至っています。この地球という環境の中で、生命体に大き
な作用力をもつ物理的な作用力は、「重力、電気磁気力、核の中の2つの力」と
いわれています。この中で最大の作用力は「重力」です。この地球上をとり巻く
不変の力『1G』といわれる重力が、地球生物の「構造・機能・形態」を決定する
力として働いています。次に作用力をもっているのが電磁力です。この電気・磁
気的作用は、「天の気・地の気」としてこれまで解説してきました。この項では
「磁気」に的をしぼって人体への作用を考察してみたいと思います。

 地球環境の中での最大の作用力は「重力」です。しかし、これが宇宙という壮
大な原野に目を向けて考えてみますと、地球は太陽系という枠組みの中に置か
れ、この太陽から作用する種々のエネルギーで地球生命体は誕生し、その影響
下で生命を営んでいます。そのエネルギーの中でも、地球生物に大きな影響力
をもっているのは実は「磁気エネルギー」なのです。その磁気エネルギーは太陽
からだけではなく、遠く彼方の銀河系はいうに及ばず、すべての宇宙構成系から
地球に届いており、それは地球上のあらゆる生命体にとって大きな作用力をもっ
ています。

 それを検証する例として、多少ニュアンスは異なりますが、中国の易学や占星
術、古代エジプトの占星術等があります。これは星座の位置・運行・周期によっ
て生物の生死、吉凶を占います。洋の東西を問わず、現代までその神秘な洞察
眼は現代科学の枠を超えて人々の生活に深く根付いており、単なる神秘思想
では片付けられない信憑性を有しています。これに大きく関わるのが、宇宙空
間からの電磁エネルギーなのです。つまり宇宙空間からの大きな作用力は、宇
宙空間からの電気・磁気力が大きく関わっていることを示しています。これを古
代人は「神の気」として理解し、「天の気・地の気」として捉えていました。

 目には見えないが、大きなエネルギーや情報として作用する“磁気”は、現代
科学文明を支える大きな力となっています。情報記憶再生装置のすべて、ビデ
オテープやカセットテープのテープに情報を磁気記憶させているのは、ご存知の
通りです。CDDVD、メモリーカード、テレビ、電話、携帯電話、スマートフォン、
コンピューター、パソコン、リニアモーターカー等、磁気を使用応用する電気器
具は、枚挙にいとまがありません。現代の私たちの生活と磁気作用は、切っても
切れない関係があるのです。電気と磁気が現代科学文明を機能させているのは、
疑いの余地はないのです。つまり、これがないと現代文明は存在できないのです。
しかし、現代科学文明を支える電気・磁気の本質は、未だ未解明な部分が多く、
それを利用しているに過ぎません。実は生命体においても電気と磁気は、生命
の仕組みとなる「物質・エネルギー・情報」の中のエネルギー系と情報系の主役
となって生命を成り立たせています。つまりこの電気・磁気の作用がないと生命
は維持できないのです。

 私の生命・人体の謎についての探求の方法の基本認識は、この世に存在す
るすべての道具・器具・機械は生命体のもつ機能の延長上にあり、その模倣で
あるという考え方です。この基本認識からすれば、磁気のもつ特性としての
「指北性・両極性・鉄に対する吸引性・異極吸着性・同極反発性・情報記憶性」
は、人体の中にもっと精妙な形として備わっていると考えられるのです。この観
点を元に人体内の磁気の秘密を探りたいと思います。また、人体を小宇宙とし
て捉え、マイクロな宇宙との相似象の中でその本質を探りたいと考えます。

 磁気の一番身近な例として、コンパスの針が常に北を指す現象があります。
これは地球の磁場の影響力です。地球はそれ自体が巨大な電磁石であり、そ
の磁場があることによって起こる現象です。そしてこの磁場は前述してあります
ように、私たちの地球のみならず広大な宇宙全体を支配する力でもあるのです。

銀河系が数百万年もの間その巨大な引力によって自らを押し潰し、崩壊、爆
発という運命をたどらずにすんだのも、この磁場の存在のためであるといわれ
ています。そして私たちが知っている宇宙の様々な星雲のあの螺旋構造も、磁
場の力によって形作られ安定し、存在し続けることができるのです。そしてこの
巨大な宇宙を支配する磁気の力は、正反対の極小の宇宙である原子の世界
でも作用しています。磁気的な力は、原子・分子・原子核と電子・陽子・中性子
等の動きを規定する力でもあるのです。

 以上のことからわかるように、地球上を支配する最大の作用力は「重力」です
が、宇宙空間の最大の作用力は「磁気」であり、普遍不滅の力として生命体に
大きな影響力をもっています。この磁気のもつエネルギー・情報としての作用を
探ることは、生命の原理を知る上で欠くことのできない要素となります。では、こ
の磁気は人体にとってどの様な作用があるのか考えてみましょう。

 人間の身体は細胞からなっています。この細胞は分子からなり、分子はさら
に原子により構成されています。前述してある通り、磁気的な力が分子・原子
といったミクロの物質にまでも作用する力をもっていることは、私たち人間にとっ
て多大な影響力があることは十分に推察されます。地球自体から発する磁気
は、血液の中や細胞、神経といった人間の身体のミクロな世界でイオン(正また
は負の電気をもつ原子)の活躍を促す働きの他、様々な情報としての役割を
担っています。特に脳内のホルモン中枢である脳下垂体へのエネルギー・情報
としての作用は重要です。

 地球自体が電磁石であると同様に、私たち人間の体も一種の電磁石である
という見方もできるのです。人体に摂取された食物は、身体の中で様々な化学
元素に分解され、ある方法で極性化され、その元素を合わせてあらゆる種類の
細胞を形成し、同様にして細胞はあるグループに集合し、各種の器官を形成し
ます。これらの器官もまた、極性化状となって互いに統合し、それが全部集まっ
て機能する一つの大きな磁性体となります。それが、人体と呼ばれるものです。
その人体内には二つの磁気的極の間に磁力線と同様の生命活力が流れてい
るのです。

 昔の人は、死人の頭を北に向けるという風習をもっていました。現代でもこれ
は「縁起」として受け継がれています。また古代エジプトにおいても、死者は必ず
頭を北に向け、顔面は東方に向けるという埋葬を行なっていました。

これは、弱くなった人の磁性体に地球磁場を受けさせてエネルギーの流れを作
り、蘇生させようとする発想からきたものです。俗にいう「北枕」は、一般に縁起
が悪いと好まれませんが、体調の落ちた時、頭痛や精神不安定な時は、北枕
で休むと良い結果を得ることができます。また、赤ん坊を部屋の真ん中に寝か
せると、知らないうちに頭を北に向けてスヤスヤと休んでいる姿が観察されます。
これは、前述したように生体磁場と地球磁場の関係からもうなずけることです。

 先頃、アメリカの大学で行なわれた実験では、この生体磁場と地球磁場との
関係を実証しました。それは、磁気シールド室に培養器に入れた動物細胞を置
いておくと、通常では死ぬことのない細胞が間もなく萎縮し、活動を停止してしま
うのです。この他にも、磁気と生物との関係は各国の研究機関からの研究発表
にも数多く見られます。このように、人体への磁気作用の研究は生命の謎を解
く大きな手掛かりとなっているのです。日本の古代人はこの天地からの磁気の
作用を「アマウツシ」と表現し、これを体内にとり込む技法を伝えています。次項
では、人体との関係をより詳細に探っていきたいと思います。