イボ、後天的なホクロ、シミ、タコ、魚の目の考察  2016.6.7 有本政治

生きている体に起こる全ての反応には意味があります。この視点に立ってイボ、後
天的なホクロ、シミ、タコ、魚の目を考察してみます。

<皮膚は外界との界面であり、外部からの情報の受容、伝達、処理、反応を司り、
また発信し、さらに内部のいらない物をすてたり、内部の状況を映す鏡 >

私たちの体は、皮膚という界面で外界と仕切られて存在しています。外界の気候
変化や空間の状況変化は全て皮膚を通して内部に伝えられています。つまりは外
部からの情報を全て処理し、また発信をも担っているのです。人体における情報
(受容、伝達、処理、反応)の総括は脳が行なっていますが、実はこれと同じことを
界面である皮膚も担っているのです。極論すれば、脳"を薄く引き伸ばして皮膚状
にして全身に張り巡らせた存在が皮膚と言えるのです。
皮膚は単に界面の膜ではなく、このように生命を維持する上で不可欠な役割を果
たしているのです(皮膚呼吸を止めれば死に至ります)。

また内部の毒素や老廃物、内熱を皮膚を介して外部に排出する役割を果たしてい
ます。それを担うのが皮膚呼吸や発汗作用になります。非常対応としての皮膚病も
その役割を果たします。
さらに内部の状況を知らせるためのサインとしての役割を担っています。肌荒れ、
シミ、ほくろ、イボ、タコ、魚の目等は、全て体の異常を知らせる警告サインであり、
皮膚に何かを作る事で、何かを外部にすてる大切な反応と言えるのです。

<イボ、後天的なホクロ、シミは内部の異常を示す警告サインと皮膚にバリアー
を張ることで何かを守り、何かを放出しているーー東洋医学からの考察>

生きている体に起こる全ての反応には意味があります。それはイボやホクロ、シミ
であっても同様です。命にマイナスに働く事は一切ありません。この視点でイボ、後
天的なホクロ、シミを考察してみると以下の対応が考えられます。

内部の異変を知らせるサインの役割をもっていると考えられます。この捉え方をもっ
と統合的に体系的に研究してくれているのが、東洋医学の鍼灸におけるツボ(経穴)
と共通のツボを結んだ線状の経絡(ケイラク)になります。鍼灸医学の経絡経穴の概
念は、体内の五臓六腑(肝、心、脾、肺、腎、大腸、小腸、胃、胆、膀胱)の状態が皮
膚上に点として現われる場所がツボ(経穴)になり、その共通の臓腑の反応点を線状
に結んだのが経絡になります。古代の中国人が何千年もの歳月をかけて徐々に発見
また検証した成果であります。

皮膚上のツボに圧痛、硬結、発疹、熱感、肌荒れ、あるいはイボ、ホクロ、シミ等とし
て発現されるのです。これらは内部(内臓の五臓六腑)の状態を示す反応点であり、
診断点であり、また治療点でもあるのです。
一例を挙げれば、心臓の反応場所は胸の心臓の上から腋下を通り、上腕の内側か
ら肘の内側へつながり、前腕の内側から手首の小指側に至り、小指の先端まで反応
が現われます。これを心経(心臓の経絡)と呼んでいます。心臓に異変があれば必ず
上記の線状(心経)のどこかのツボに圧痛、硬結、発疹、熱感、シビレ、皮膚病、イボ、
ホクロ、シミ等の何らかの反応が現われるのです。

事実現代医学においても、心臓病の反応は左の腋下から上腕の内側に違和感が
現れると検証しています。東洋医学ではこれをもっと詳細に検証して、点と線で示し、
診断個所のみならず治療点として伝えているのです。

このように肌荒れ、イボ、ホクロ、シミが皮膚上のどの場所にどういう範囲で発症する
かによって関連する内臓を見出すことができるのです。つまり内臓の警告サインとし
ての役割が明らかになるのです。また内臓の反応点に何かを作る事で、当該する内
臓への刺激シグナルの役割も受けもち、さらに当該内臓の熱をすてる役割をもつと
考えられるのです。

<タコの役割>

タコは常に接触や圧、刺激を受ける場所にできます。これは皮膚を肥厚させる事で
皮膚そのものや、内部への刺激を軽減する役割を担っていると考えられます。つま
りは組織を守る対応として皮膚を厚くする事で、組織が傷つくのを防いでいるのです。

<魚の目とは何かーーーその機序と効用>

皮膚病の中でも特に足裏にできる魚の目とは、魚の目のような芯が中心に存在する
ことからこう呼ばれてきました。全く痛みや圧痛がないものから、体重がかかるとズキ
ズキと痛み、足が着けない状態になる等多様です。削りとってもまた発生してしまい
ます。魚の目は芯があるため、いぼやタコのように消えることはありません。

生きている体の示すあらゆる反応には意味が存在します。この観点で見ていくと
その存在理由が明らかになります。生命体は、悪くなった体を元に戻そうとする対応
をとっていくのです。それは足裏に魚の目を作る事で、接地時に違和感や痛みを発
生させ、足裏にかかる重心の位置を変えることで歩き方を変えたり、故意に跛行
(はこうーー体を歪めた歩き方)を作り出しているのです。これにより、体全体に歪み
が生じ、いい意味で全身の血液の流れ方が変わり、また血液の配分も変わり、足り
ないところに血液を集めることで、機能低下した組織器官の回復を図る対応をとっ
ているのです(詳細はホームページ院長の日記、箱根駅伝の選手の突発的な故障
の項を参照)。

これと同じ対応が突発的に起きる踵の痛みです。痛みにより心臓の拍動を促し、踵
を着けなくさせることで、つま先歩きを余儀なくされ、ふくらはぎの筋肉の収縮を助長
していきます。そして筋肉ポンプをより作動させて、虚血を起こしている脳に血液を
送り込み、脳の回復を図る対応をとっていきます。
魚の目を作るのも同様の対応ですが、魚の目の場合はもっと巧妙です。魚の目を
発生させる位置で、足裏の重心がつま先歩きになったり、踵歩きになったり、親指側
や小趾側にかかったりと、何処に血液を集めて回復させるかが決定されるのです。
正にここまでやってでも、私達の体が悪くなるのを防いでくれているのです。

魚の目は誰にでも発症するわけではありません。魚の目が足裏にできる人は、
自覚のあるなしに関わらず、それだけ体調が崩れている事を意味します。私の経験上、
中高年になっての発現は重篤な病の前兆である場合が多くあります。魚の目の発現
を単に皮膚だけの問題として捉えず、自らの生命力や免疫力の低下として捉え、無
理やり手術やレーザー光線での治療等でとり去る処置を行なわないようにしてください。

<イボ、ホクロ、シミ、タコ、魚の目の処置について>

これまで解説してあるように、これらの発現には意味があります。故にその意味を知
らず無理やりとり去る処置は避けるべきです。いずれの皮膚病も何もない場合には
発生しません。自身の体調の悪さ、生命力や免疫力の低下が必ず根底にはあります。
この様に認識し、生活習慣を見直していく必要があります。特に食事、睡眠の改善は
必定です。

先人の知恵として昔からの言い伝えに、イボ、ホクロ、シミ、タコ、魚の目はいじっては
ならないと教えています。体調が整えば自然に消えることを経験上知っていたのです。
この先人の知恵に耳を傾ける事が重篤な病への移行を防いでくれるのです。
日本伝承医学においては、古代人の叡智により構築された施術法を用いて、低下し
た生命力、免疫力を回復させていきます。