鼻血の本質  2023.2.2. 有本政治

 

鼻血を悪いことではなく正の対応の視点で解説します。外傷的要因(打撲・
裂傷等)を除いた鼻血の原因は昔から“のぼせ”による脳の興奮から起こると
考えられています。その良い例が子どもの鼻血にあたります。子どもの場合、
はしゃいだり暴れまわったり興奮した後に、鼻をいじった訳ではないのに突然
鼻血を出す事があります。これがいわゆる“のぼせ”で、脳が興奮しすぎた
ことで発生します。しばらく安静にして頭や鼻を冷たいタオルで冷やすと治ま
ります。

 ここに鼻血の本質が隠されています。脳が興奮して脳圧が上がると、脳圧を
下げるために出血させます。これ以上脳圧が上がると脳の血管が切れて脳内出
血等を起こしてしまうからです。脳に通じる「穴」に相当する鼻から出血させ
ることで、一気に脳圧を抜いて命を守る対応をとっているので、止血剤や点鼻
薬等の使用は避けます。

 大人の場合の脳の興奮とは、はしゃいだりする事ではなく、プレッシャーと
精神的ストレスの持続から起きます。イライラしたり、時間におわれたり、
予定通りに物事を進めようとしたり、不安や心配事等の負の感情が、脳内に熱
をこもらせ脳圧を上昇させていきます。こうした心労は自律神経のバランスを
崩し、交感神経を常に緊張させ脳内に炎症を引き起こしていきます。この状態
が続くと脳血管障害(脳いっ血、くも膜下出血、脳内出血等)の危険性があり
ます。体は危険を回避するため鼻の毛細血管を破って鼻血を出すことで、脳圧
と脳の熱を一気に抜く対応をとります。

 鼻血による対応の前段階として、頻尿現象が先に起こります。頻繁に排尿す
ることで脳圧を抜きます。頻尿を止めようと水の摂取を控えてしまうと、血液
がドロドロになり、余計に脳に熱がこもってしまいます。鼻血と頻尿を防ぐた
めには、脳温(脳内温度)と脳圧の上昇を下げることが必要です。その為には氷
を使った「頭部冷却法」が有効です。就寝時に後頭部に氷枕を使用し、アイス
バッグ2個を用い両首の冷却を行ないます。首を冷やすことで脳内に入る血管
が冷やされ、冷たい新鮮な血液が脳に送られ、脳温の上昇を下げ、脳の炎症を
除去してくれます。冬場は足元に湯たんぽを使用します。これは古来より行な
われている「頭寒足熱法」(ずかんそくねつほう)になります。頭寒足熱により、
人体の上下に流れが生まれ、血流が良くなり、脳の虚血を改善できます。

日本伝承医学では血液の循環・配分・質を整え、脳温と脳圧の上昇を下げる
治療を行ないます。自律神経のバランスを整え、交感神経の緊張をとり、脳内
温度を下げていきます。家庭療法として頭部の局所冷却法を併用していきます。