大腸ポリープの本質      2015.7.1 有本政治

大腸ポリープは、大腸の内壁表面にオデキを作る事で、大腸内に蓄積された、熱
や毒素を外部にすてるための対応になります。それ故無理やり手術で切り取った
り、薬で封じ込める処置をしてはならないのです。体にとっては必要な対応で起こし
ているので、封じ込めても、また再発し、体は腫瘍やがん等のさらなる対応を余儀な
くされていきます。

大腸の内壁は、口から肛門まで連なる内管系の一部になり口内、食道、胃、小腸、
大腸の粘膜は一連のつながった内部の膜に相当します。故に口内にできる口内炎
と大腸内にできるオデキは本質的には同じ機序で発生していきます。
口内炎や口唇の炎症は、昔から熱の華(ねつのはな)と呼ばれ、内部に熱がこもっ
た場合、これを排出する手段としてオデキ状のものを作り外部にすてる対応になり
ます。内熱や毒素を外部にすてることができれば、役割を終え自然に回復していき
ます。

大腸のポリープもこれと同様になります。大腸の内部に慢性的な炎症が起こり、次第
に毒素や熱の蓄積が限度を超えて来た場合に小さなオデキを作り、集めてまとめて
外部にすてる対応で発症します。オデキの表面が破れ出血したり、血便になる場合
もありますが、口内炎と同様に、内熱や毒素をすてきれば、自然に回復していきます。
閉経後の女性や男性に大腸ポリープが多いのは、オデキを作ったり、オデキから出
血することで内部の熱を外へ排出することができるからになります。(女性の場合、
生理があるときは、生理によって出血し内熱を排出することができるので大腸にポリ
ープはできにくくなります)。

大腸は長さが約1、5メートルで直径5〜8pの太い管になります。水分やミネラルを吸
収し便を生成して貯めて、蠕動(ぜんどう)運動し排出します。その間に便を利用して、
約1000種以上500兆から1000兆個にも及ぶ腸内細菌の分泌物を発酵、熟成させます。
まるで壮大な化学工場を営むかのように、体に不可欠なビタミン類や免疫物質やその
他の重要物質を絶えまなく産出しているのです。この大腸の機能が低下すると便の生
成が低下していきますが、その根底には、胆嚢から分泌される胆汁の不足が起因し
ています。

胆汁が不足すると、腸内の炎症を鎮め、血液の熱を冷ます作用が働かなくなるため、
便の生成が十分にできなくなります。この胆汁の分泌不足が、便の生成時間を大幅
に伸ばし、長く便を留める事で、大腸内に腐敗発酵を生み、毒素の発生をもたらし、
大腸に熱を発生させていきます。またこれ以上便を留めては危険な場合は、今度は
下痢を起こし排出する対応をとっていきます。(便秘や下痢)。

胆汁の分泌不足は、胆嚢、肝臓の機能低下から起こります。肝臓と大腸は門脈系で
つながった関係にあり、大腸の便の中の成分であるビリルビンと胆汁酸は肝臓に
再吸収されています。この門脈系の循環の低下は、肝臓と大腸の機能に大きく影響
し、大腸の機能低下をさらに助長させます。体は大腸の機能を元に戻す対応として、
大腸に血液を集め、熱を発生させます。さらに肝臓の持つ解毒作用の低下は、大腸
内の毒素を分解できず、大腸内に毒素を蓄積させる要因となります。このように大腸
ポリープは単に大腸だけの問題ではなく、肝臓や胆嚢の機能とも関連して発症してい
ます。根本から改善していくためには、体が大腸にポリープを作らなくてもいい様に、
熱や毒素を蓄積させない様にまず、胆汁の分泌を促進していく事が必要です。

胆汁が分泌不足になるのは、胆嚢という袋が腫れて収縮できないためになります。
胆嚢が機能低下する要因は、不規則な生活や食生活の乱れ、過労や心労睡眠不
足等に関わってきます。特に精神的ストレスの持続は、脳を酷使し脳内物質や脳内
ホルモンを大量に消費させます。脳の神経伝達物質や脳内ホルモンはその大部分
が肝臓で作られ、脳で消費され、また肝臓に還って分解されます。この持続が肝臓
の機能を低下させていきます。肝臓の機能低下は、全身の血液の配分を大きく乱し、
内包する胆嚢の機能をも低下させます。

大腸ポリープを治し、今後も起きないようにするためには、肝臓と胆嚢の機能
を元に戻し、大腸に血液を集め、血液の循環を良くする事が必要です。大腸ポリープ
を含め、全ての病気の背景には、その人自身の生命力や免疫力の低下が必ず存在
します。また直接的な要因として、全身の血液の循環、配分、質(血液のドロドロベタ
ベタ状態)の乱れがあります。この2つを整えるには、生命力や免疫力に関わる、骨
髄の機能を発現し、全身の血液の循環、配分、質の乱れに関与する、肝臓(胆嚢も
含む)と心臓の働きを高めることが必要です。

日本伝承医学の治療は、骨髄機能を発現する目的で構築されており、肝心要(肝臓
と心臓)を中心に技術が組み立てられています。また大腸に血液を集める腸の操法
を用います。さらに家庭療法として勧める頭と肝臓、胆嚢の氷冷却法は、脳内の熱の
こもりと脳圧の上昇を抑え、また肝臓、胆嚢の熱と腫れを軽減させます。日本伝承医
学では大腸ポリープをこのように捉え、対応しています。