漢方医学に、肝は血の塊「人臥(が)すれば、血、肝に帰
す」とあるように、人が活動するときは肝より血を全身に
めぐらせ、横たわると血は肝に回収されます。肝臓は血の
基地であり、血の司令塔、血のめぐりの総元締めの作用を
担っています。
 また漢方医学にいう肝臓は「肝は将軍の官、謀慮(計略、
策略、戦術、任務遂行、指令)これより出づ」とあるよう
に、感情をコントロールしたり、怒りと度胸を支配する臓
器といわれています。日本語の中に「肝(きも)がすわって
いる」という表現は、まさにこれを言い表しています。
このように、肝臓は生理的な血の総元締めでもあり、精神
感情をもコントロールしている臓器なのです。
 事実、脳内物質のほとんどが肝臓でその基となる成分が
つくられています。また脳内物質の分解をしているのも肝
臓です。脳の神経伝達物質として、今注目をあつめている
セロトニン、 セロトニンからつくられるメラトニンの基
になる物質は、肝臓でつくられ血液で脳に送られ、神経伝
達物質を産出しています。また血液、粘液の成分となるも
との物質も肝臓で作られています。脳が精神をコントロー
ルしているのではなく、脳はその指令を分配しているだけ
なのです。 
 昨今、この事実が世界的に証明されつつあります。臓器
移植の中で肝移植を受けた人の多くが「性格が変わった」
「生まれ変わったよう」「もう一人の自分がいるようだ」
と手術後に証言しています。肝臓はまさに精神感情に大き
く関与する臓器であったのです。
肝臓は血の基地、血の司令塔
  怒りと度胸を支配する