≪眼窩前頭皮質損傷≫   

眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)は脳の前頭前野の腹側表面にあり、
意思決定等に重要な役割を果たす部位になります。人間の脳の中でも、未だ
に解明されていない未知の分野になります。

この領域は意思決定の他、感覚情報、記憶情報、忘却等にも関与していると
も言われています。

 

【眼窩前頭皮質が損傷されるとき】

眼窩前頭皮質は報酬と罰、良い事と悪い事に対する感受性に関連した行動を
制御していると考えられています。

頭を打つ交通事故や極度の恐怖、死ぬ程の怖い体験、精神的虐待、肉体的虐
待、肉体的暴力、性的暴力、激し
いいじめ等を幼少期に経験した場合、眼窩
前頭皮質が損傷されやすくなります。この部位が損傷されると感情がうまく
コントロールできなくなります。人と感性が異なり、例えていえば、「黒い
カラスが自分には白く見えてしまう」こうした現象が起きてしまうのです。

 

人は元来いやな事は時間と共に忘れていく忘却システムを脳に兼ね備えてい
ますが、眼窩前頭皮質が損傷されると、いやだった事の記憶が消えずに脳に
焼き付いていきます。眼窩前頭皮質の損傷は、忘却脳の損傷とも言えます。
いやな事や、されて嫌だった事、人から言われて嫌だった事、不快体験等が
忘れられなくて永遠に持続していきます。小さいころに言われたことを大人
になっても一字一句覚えていることもあります。逐一すべて覚えているので、
人からは執念深いとか、根に持つタイプと思われやすくなります。記憶が消
えないため、自分が相手から受けたことは、同等の仕打ちをもって仕返しし
ないと気がすまない「目には目を歯には歯を」的な考え方が強くなりがちです。
親や友人、恋人や知人、会社や組織等からされたひどいことが忘れられない
から、いつまでも前へ進めず、前向きになれないのです。

 

感受性を制御するシステムが損傷しているので、感性がかなり他の人間とは
異なるため、人間社会では非常に生きにくくなります。精神医学においても、
この眼窩前頭皮質損傷は理解、解明されていないため、「眼窩前頭皮質損傷」
という病名は未だについていません。人間の脳内というものは永遠に未知な
るもので、医学で現在解明されている分野はほんの一部にしか過ぎないのです。

 

眼窩前頭皮質損傷の人は、発達障害、多動症、うつ病、パニック障害、双極
性障害、心的外傷(トラウマ)、統合失調症等の様々な病名がつけられてし
まいます。自律神経のバランスに乱れが起きているため、常に交感神経が緊
張した状態になります。夜中も目が覚めやすく、眠りの質が低下するため、
昼間の感情状態に波があります。気分にむらが出てしまいます。周りからの
理解もされにくく孤独感が増します。感受性が強いため人の裏、あやが瞬時
に読めてしまうので、周りの人間が皆、偽善者に見えてしまいます。裏がない
人間なんていないからです。でもその裏が読めてしまったら、人間不信になっ
てしまうのも無理有りません。雑踏や人ごみも苦手です。

 

精神というものは決して尺度で測定できるものではないので、こうした精神
状態はMRIでもCTにも映らないので病名もはっきりしません。受診する病院
によって診断や病名が異なってしまうのが現状です。人の気持ち、感情は
はかりしれないからです。

 
  ()MRIは磁力と電波を用いて撮影し画像を確認します。CTは放射線を
    用いて体の内部を画像として確認します。MRIは造影剤を使わなく
    ても、脳や脳血管の状態が細かく観察できます。肺や胸部の画像は
    CTでは空気まで描出できるので優れています。

 

【眼窩前頭皮質には熱をもつ】

人の体は脳内が最も熱がこもりやすい個所になります。だから頭には、熱が
排出しやすいように目、耳、鼻、
口のように穴がたくさんあいているのです。
また夜間就寝時にも脳が働いているため、夢を多くみるようにな
ります。
就寝時に氷枕で後頭部を冷却することによって、脳内にこもった熱はかなり
除去できるので、眠りの
質をあげることができます。また眼窩前頭皮質損傷
の場合は、前頭葉に熱を帯びるので、就寝時にはアイスバ
ッグでひたい冷却
と首筋冷却も行なうようにします。日本伝承医学では自律神経調整法、後頭
骨擦過法、リモ
コン操法等により交感神経の緊張をとっていくので精神状態
を良い方へ改善していくことができます。